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2020年1月21日火曜日

72. ガリレイの相対性原理とマクスウェル方程式

さて、このように点の運動と、座標系の運動、より正確には座標変換は、運動の向きが逆になるだけで、観測者にとっては相対的に同じものであることがわかりました。

では、その相対性原理について、具体的に見ていきましょう。まずは、ガリレイの相対性原理です。ある座標変換に対する相対性原理が成り立つというのは、その座標変換の下で運動方程式の形が不変であるということを意味します。

例えば、2次元時空(1次元時間+1次元空間)におけるガリレイの相対性原理の場合、相対速度Vで近づく2つの座標系同士なら、
 …… (72-1)
というガリレイ変換で移り合います。
 
 すると、一方の座標系で、運動方程式であるニュートン方程式
 …… (72-2)
が成り立つ場合、他方の座標系では、
 …… (72-3)
が成り立つはずですが、式(72-1)より、

 …… (72-4)
さらに、 
 …… (72-5)
となりますから、式(72-2)が成り立つとき、式(72-3)も成り立ちます。逆変換も同様です。したがって、ガリレイ変換の下でニュートン方程式は不変です。

ちなみに、ガリレイ変換の逆変換は、
 …… (72-6)
となります。

ここで、偏微分を調べておくと、

となります。このとき、古典力学における古典力学における波動方程式


  …… (72-9)
を調べてみると、

ですから、
(72-11)
となって、一般に、のとき、古典力学における波動方程式は成り立ちません
(ただし、のとき、ガリレイ変換後の波動方程式は、元の波動方程式に近似します)。

したがって、マクスウェル方程式から導かれる電場や磁場の波動方程式も、ガリレイ変換で不変とはなりません。そして、もっとダイレクトに、マクスウェル方程式自身に、上記のようなガリレイ変換を施しても、マクスウェル方程式は不変とはなりません。







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