古典力学の形成・発展において、17世紀後半から18世紀前半、アイザック・ニュートンは物体運動について「運動量」という概念を持ち込んで運動方程式を作り、18世紀後半から19世紀にかけて、ジョゼフ=ルイ・ラグランジュやウィリアム・ローワン・ハミルトンはその運動方程式が「エネルギー」という概念によって導かれることを示し、19世紀後半、ジェームズ・クラーク・マクスウェルは「場」という概念を用いて電磁気学の世界を整理しました。そして、物理学の古典論の最終現場として、20世紀に登場したのがアルベルト=アインシュタインでした。彼は「相対性」の概念を整理し、現代物理学の手法を確立させるための基礎工事を行なったと言えるのではないでしょうか。
まずは、アインシュタインの相対論を標語的に簡潔にまとめておきましょう。
○相対論(相対性理論)
特殊相対論(特殊相対性理論)と一般相対論(一般相対性理論)の2種類がある。
ガリレイの相対性原理をベースにして拡張されていった理論。
特殊相対論=特殊相対性原理+光速度不変の原理(光速度限界の原理)
一般相対論=一般相対性原理+等価原理として始まったが、最終的に、
一般相対論=一般相対性原理+運動の測地線原理として完成した。
この「相対論」を生み出す土台となった考え方は、あまりにもごく自然な考え方でした。この考え方は今日では、現代物理学の基本的な信条とも言える考え方になりました。
○物理学におけるごく自然な考え方
あらゆる自然法則は、いつでもどこでも成り立つはずだ。
⇒あらゆる物理法則は、人間からの見え方に依らずに成り立つはずだ。
⇒あらゆる物理法則は、観測者の見え方に依らずに成り立つはずだ。
⇒あらゆる物理法則は、人間が勝手に考えた座標系の採り方に依らないはずだ。
この考え方に基づいて生まれたのが、「相対性原理」というものでした。
○相対性原理
互いに運動する物体の座標系の間では物理法則が不変な形を保つという原理。
⇒力学法則はどの慣性系においても同じ形で成立するという原理。
・ガリレイ相対性原理 :ガリレイ変換 に対して物理法則が不変。
・特殊相対性原理 :ローレンツ変換に対して物理法則が不変。
・一般相対性原理 :一般座標変換 に対して物理法則が不変。
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