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2020年1月7日火曜日

56. 自由電子の波動関数

さて、半田広宣氏の

2013:人類が神を見る日』初版(以下、『人神』初版と略す)1部第9章の「シュレディンガー・ルーレット」(p.224p.266)
2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』(以下、『人神アド』と略す)1部第9章の「シュレディンガー・ルーレット」(p.209p.247)

では、ヌーソロジーの肝とっも言うべき量子力学や素粒子物理学といった現代物理学の内容との関連が説明されています。その中で、まず、『人神』初版のp.235や、『人神アド』p.219p.220に、現代物理学で使われる「波動関数」に関する記述が出てきます。

では、量子が持っている波動の性質とは一体何の波動なのだろうか。このことは量子力学の提唱者N・ボーアも分からなかったし、量子の数学的記述を初めて可能にした、かのA・シュレディンガーさえ空間に何らかの波のようなものが広がっていると誤って解釈していた。この波動を物理的な波動ではなく確率の波として解釈したのはM・ボルンであった。
 では、量子の状態を記述する波動関数というものがどのようなスタイルを持ったものなのか、実際に眺めてみることにしよう。数式嫌いの人にとってははなはだ迷惑な文字や記号が混じっているが、この数式に対する具体的な理解はここでは必要ない。大雑把なイメージさえつかんでいただければ、それで十分である。例えば自由電子の状態は次のような関数によって指定される。

この関数の役割は、電子に対してある物理量(運動量や位置など)を測定したとき、どのような値がどれくらいの確率で現れるかを決めることにしかない。四角で囲んだaのところが確率振幅と呼ばれる部分で、bのところが複素関数の部分に相当する。量子論の予測する観測可能な物理量(素粒子の位置や運動量といったもの)は、この波動関数ψに共役な複素関数ψ*(*はアスタリスク、またはスターと読む)を掛ける演算によって確率として得られる。
波動関数はここに示されているように虚数iを含んだ複素関数であり、この関数は元来、波の干渉や回折を導くために必要なアルゴリズムとして導入されたものだった。それゆえ、波動関数としての記述を導き出したその歴史的なプロセス自体には、それほど深い哲学性があったわけではない。
(半田広宣『2013:人類が神を見る日』p.235
(半田広宣『2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』p.219p.220

まず、自由電子の波動関数は、次のような関数によって指定されると書かれています。
少し補足をしておきます。aの部分は、ここに書かれているように、「確率振幅」と呼ばれるもので、この波動関数の振幅を表します。bの部分の絶対値はちょうど「1」になりますから、aの部分がこの波動関数の大きさを示します。より正確には、

と書けます。この左辺は、ちょうど、波動関数ψに、それに共役な波動関数ψ*を掛け合わせたものに等しい、つまり、
ですから、結局、第2式の
が成り立ちます。

次に、第1式に対するいくつかの表記上の混乱を解消しておきましょう。まず、波動関数 ψ(x,y,z,t) という表記ですが、このx,y,z は、空間上の位置を表す座標ですが、そのまま位置ベクトルの成分表示になります。ベクトルは一般にゴシック体で表しますから、この位置ベクトルも、r と書くことにします。つまり、(x, y, z) と書けます。したがって、波動関数は、ψ(r, t) とも書けます。また、bの部分の前半部分
の指数部分にある
ですが、このx,y,z,に対する係数kx,ky,kz は、p.229に書かれているように、それぞれ「波数」と呼ばれますが、これは量子力学などにおける慣習的表現であって、正確にはそれぞれ「角波数」と呼ばれます。これらをまとめて、「角波数ベクトル」と呼び、
と書けます。すると、
は、

と書けます。すると、の部分の前半部分は結局、

と簡潔に書けます。


一方、の部分の後半部分
の指数部分にある 2πνt ですが、このtに対する係数2πνは、実は「角振動数」を表します。角振動数をωと書くことにすれば、
と書けますから、の部分の後半部分は結局、
と簡潔に書けます。
 したがって、bの部分の前半部分と後半部分をまとめて書くと、
と書けますが、指数法則
を用いて、さらにまとめますと、簡潔に、
と書けます。ここで、
は、角波数の関数であることを省略してAと書くことにすれば、結局、波動関数は、簡潔に、
と書けることがわかります。とてもすっきりした形です。この右辺の指数の部分は、「位相」と呼ばれますが、この内容の意味は「角波数ベクトルと位置ベクトル(空間ベクトル)の内積-角振動数と時間の積」という意味になります。この波動関数の形は、一般に「平面波」と呼ばれ、等位相面が波数ベクトルを法線ベクトルとする等値平面から成る周期関数のことです。簡単に言えば、空間を伝わる波のうち、波面が平面となるものです。

ところで、
の不定内積(ローレンツ内積)となり、ローレンツ変換の下で不変な量となります。
ここで、アインシュタイン=ド・ブロイの関係、すなわち、
を用いれば、
と変形できます。すると、波動関数は、
と書けることがわかります。なお、
は、「作用量」と呼ばれる物理量で、換算プランク定数(ディラック定数):
を単位とする物理量になります。


ここに出て来る数式の意味を、関係する数式と合わせて、改めて一覧に並べて整理しておきましょう。







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