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2020年1月7日火曜日

58. 自由電子のシュレディンガー方程式

次に、半田広宣氏の
2013:人類が神を見る日』初版(1部第9p.240p.241)
 2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』(1部第9p.224p.225)
に登場する自由電子のシュレディンガー方程式に関する記述を見ておきましょう。
ここでは、前述の波動関数が「シュレディンガー方程式」と呼ばれる方程式の解であることを後で述べるための前振りとして、その方程式自体を出してきます。この「シュレーディンガー方程式」ですが、これは量子力学によく登場する電子などの素粒子の非相対論的な運動方程式であり、「シュレディンガーの波動方程式」とも呼ばれます。

量子事象はすべて波動関数として記述されるわけだが、この波動関数を最初に定式化したのはA・シュレディンガーだった。シュレディンガーは波動関数を求めるための2階の微分方程式を導出したが、この方程式は彼の名にちなんでシュレディンガー方程式と呼ばれている。例えば、外部から何も力が働いていない自由電子の場合のシュレディンガー方程式は次のようなものだ。

とりあえず両辺を定数で割ると、
さて、一見小難しく見える数式だが、この内容を普通の言葉に訳してみよう。
まず、式の左辺と右辺に共通して見られるψ(r, t)というのが先ほどから話題になっている電子の状態を表す波動関数である。rは電子の位置的変移(x, y, z)、そして、tは時間的変移を表す。▽の2はラプラシアンと呼ばれる演算子で、位置(x, y, z)それぞれの成分についての2階の偏微分を意味している。iは虚数単位、mは電子の質量、
はプランク定数を2πで割ったものである。つまり、この方程式は、――関数ψ(r, t)を位置(x, y, z)2階偏微分し、それに定数を
掛け2mで割ったものが、同じく関数ψ(r, t)を時間で偏微分したものに等しい――ということを語っているわけだ。

(半田広宣『2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』p.224p.225


外部から何も力が働いていない自由電子の場合のシュレディンガー方程式は、次のように書かれています。

これでは、シュレディンガー方程式のイメージがしにくいでしょう。まず、表記上の混乱を訂正しておきます。ここでの波動関数ψ(r, t)は、前述の波動関数と同じくrを太字ゴシック表記rにして、ψ(r, t) と表記した方がよく、これは、
を意味します。ここで、
を定義すれば、前述のシュレディンガー方程式は、
と書けます。ところで、
は、運動量をmとして、

運動エネルギー:
を固有値に持つ運動エネルギー演算子であり、

ポテンシャル・エネルギー:U(r) を固有値に持つポテンシャル・エネルギー演算子:
と合わせますと、
と書けて、「ハミルトニアン演算子」と呼ばれます。これは、古典力学において、位置エネルギー(ポテンシャル・エネルギー)と運動エネルギーの総和である、ハミルトニアンを量子化したものです。
すると、結局、前述のシュレディンガー方程式は、
とすっきり書けて、この場合はポテンシャル・エネルギーなしの場合になります。
さて、前述の自由電子の波動関数に対して、エネルギー演算子や運動量演算子を作用させてみると、どうなるでしょうか。実際に、計算してみましょう。

以上をまとめますと、
と書けます。


さて、以上のことを踏まえた上で、今度は、古典力学との関係からシュレディンガー方程式を見てみましょう。
まず、質量mの粒子が速度vで運動している場合の運動エネルギーTは運動量mを用いれば、の関数として、
と書けます。今、ポテンシャル・エネルギーをUとすれば、ハミルトニアンHは、
と書けます。これがある固有エネルギーEを持つという関係は
と書けます。量子物理学では、これを量子化してそれぞれの物理量を演算子にし、それを波動関数(または状態ベクトル)に作用させる方程式にます。すると、
と書けます。ここで、「エネルギー演算子」と「運動量演算子」は「空間微分演算子」と「時間微分演算子」を用いて、
と表せますから、これら各演算子の定義式を代入すれば、
となります。これを計算すれば、
となります。今、ポテンシャルなし(位置エネルギーゼロ)の自由電子の場合を考えれば、

となります。

改めて、以上をまとめておきます。







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