ところで、こうして導き出されたプランクの放射公式は、何を意味していると解釈すればいいでしょうか。
古典的なレイリー・ジーンズの放射公式だと、振動数が大きいところでは実験値と合いませんでしたが、この放射公式はそもそも古典的な考え方である「すべての振動数にエネルギーが平等に配分される」という「エネルギー等配分の法則」に基づく公式でした。つまり、振動数が大きいところでは「エネルギーが平等に配分されていない」のではないかと考えたわけです。こうして、そもそもエネルギーは連続的に変化するものではなく、ある単位を持って離散的に変化するのではないかとする考え方が生まれました。
実際、1/kT=βとおけば、エネルギーEの状態にある確率は
に比例し、エネルギーが連続量である場合、エネルギーの平均値<E>は、
………………(52-2)
となって、プランクの放射公式は出て来ません。
そこで、エネルギーEが連続量ではなく、
というある単位を持った不連続量(離散値をとる)と仮定すると、積分は無限級数の和となって、エネルギーの平均値<E>は、
となります。
………………(52-5)
となりますから、
となります。黒体を一辺Lの立方体と考えると、振動数νとν+dνの間に固有振動数を持つ単位体積当たりの状態数は、
………………(52-7)
と求められます。すると、熱放射の強度はこの状態数に、エネルギーの平均値を掛けて、
………………(52-8)
となりますが、
とおけば、
となりますから、
となり、プランクの放射公式が求められました。これは、エネルギーを連続量ではなく、
という単位を持って離散値をとる不連続量と考えたから、実験結果と一致したのでした。
この単位を、プランクは「エネルギー量子」と名付けました。
これがプランクの「作用量子仮説」でした。
この「プランクの作用量子仮説」をさらに進化させて「実体化」させたのが、1905年のアインシュタインの「光量子仮説」でした。これは1902年のレーナルトや1916年のミリカンが行なった光電効果の実験を通じて、次第に明らかになっていきました。そして、1923年のコンプトン効果の実験によって、X線の粒子性が見事に実証されました。
つまり、それまで列記とした「波動性」をもつはずの「光」が「粒子性」をも持っていたという事実がわかったのです。
0 件のコメント:
コメントを投稿