先に述べたように、「モノの向う側」の無限遠点までを半径とする空間がψ3が描く球空間であり、「モノの手前側」の無限遠点までを半径とする空間がψ4が描く球空間でした。この次元観察子ψ3とψ4の半径というのは、視線方向の「奥行き」ですが、実際にはこの「奥行き」が潰されてしまって無限小のミクロに縮められています。
図1 メルロ・ポンティの奥行き解釈と次元観察子ψ3~ψ4
(DVD『NOOS LECTURE LIVE 2009-2010 Vol.5』より)
この「奥行き」方向の「前」と「後」がψ3とψ4であり、「見るもの」と「見られるもの」の関係になっているわけです。ψ3とは、表相の背景面が不動であることを見い出して、それを回転させることによって生成される球空間でした。
図2 ψ3とψ4を4次元から見たときのアナロジー図
(DVD『NOOS LECTURE LIVE 2009-2010 Vol.5』より)
ヌーソロジーのロジックとしては、このψ3とψ4を等化するとψ5になり、中和するとψ6になるわけですが、これは言ってみれば、3次元空間を平面に見立て、4次元目の軸を、その平面を見る垂直な視線として立てたとき、主体が位置を持っている無限遠点で閉じられるのが等化側のψ5だとすれば、中和側のψ6は無限遠点で開かれる構造になります。
これは、ヌーソロジーでは、数学的には3次元球面と3次元双曲面と呼ばれるものの違いとして解釈されています。
図3 ψ5とψ6のアナロジー図
(DVD『NOOS LECTURE LIVE 2009-2010 Vol.6』より)
ヌーソロジーでは、この次元観察子ψ5が描く空間が「自己」から広がる空間であり、次元観察子ψ6が描く空間が「他者」から広がる空間ということになります。
こうして、私たちの忘れられていた「身体」というものが見い出されることになります。それは単なる物質的な肉体のことではありません。「前」と「後」で述べるなら、そうして取り戻した、本当の意味での身体における「前」方向を回転させた球空間がψ5が描く空間、身体における「後」方向を回転させた球空間がψ6が描く空間ということになります。
図4 ψ5とψ6の球空間の描像
(DVD『NOOS LECTURE LIVE 2009-2010 Vol.6』より)
natanです( *・ω・)*_ _))
返信削除ちょうど極射影を調べていました!
シュタヌー本P421では「第4の次元」と書かれていて、この次元は何だろう?と思っていました。
そうか、こういう射影の世界がベースにあってヌーソロジーの観察子の世界が展開していくのか~☆
ちなみにステレオ投影?と調べてみました。
すると、球体に光を当てると広がって見える状態が今まさに自分の目の前で起こっている事と捉えれば良いのでしょうか?
本当は点を見ているのにそれが広がって外在世界が存在しているように見えるという感じですかね?
natanさん、コメントありがとうございます。
返信削除シュタヌー本p.421の図18の中の「第四の次元」というのが、自己の「眼差し」のことであり「奥行き」のことですね。この図は、「リーマン射影」と呼ばれる、ある種のステレオ投影のことで、プラトンの「洞窟の比喩」とも関係しいていて、下次元は上次元からの投影(射影)だという言説と関係していると思います。
2次元平面というのは、2次元球面S^2(つまり、地球儀のような3次元球体の表面)の北極の位置からの平面投影であり、その延長で考えますと、私たちが存在している3次元空間の場合は、3次元球面S^3(つまり、4次元球体の表面)の北極の位置からの投影になります。
natanです☆
返信削除ありがとうございます!
>私たちが存在している3次元空間の場合は、3次元球面S^3(つまり、4次元球体の表面)の北極の位置からの投影になります。
なるほど、そういう事なんですね。
私が考えているψ4と違いがあったらどうしようかと思ったのですが、良かったです、間違っていなかったです(笑)
>下次元は上次元からの投影(射影)
まさに物質を立体と認識するのは上次元から見ているからだ、という話にも繋がりますね(^^)
教えてくださりありがとうございます☆