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2019年10月18日金曜日

38. 素粒子空間への参入 (2)

ところで、私たちは「回転」と言っても、どれほどのことを知っているでしょうか。
私たちが慣れ親しんでいるはずの回転、例えば、3次元空間における回転SO(3)であってもあまり知らないことがあります。例えば、3次元空間における連続回転として、x軸のまわりで30度反時計回りに回転させてから、y軸の周りで60度反時計回りに回転させるのと、逆にy軸の周りで60度反時計回りに回転させてからx軸のまわりで30度反時計回りに回転させるのとでは、同じ結果になりません。このように、3次元空間における回転においては、連続した回転の順序を交換すると、結果が異なってきます。これは、3次元回転群SO(3)における2つの回転の合成に関して、交換法則が成り立たないということです。
また、3次元空間の、x, y, zという3本の座標軸のうちの、例えば、z軸の向きを逆向きに変えた空間を作れば、元の3次元空間とは鏡像的な空間になります。前述の「スピノール」が回転する空間は、この元の3次元空間と鏡像空間の両方を回転する空間です。いわば、3次元回転SO(3)の表裏を回転する操作の集まりが3次元スピン群Spin(3)です。一般に、n次元空間における回転群SO(n)の表裏を回転する操作の集まりを、n次元スピン群Spin(n)と呼びます。
そして、もう一つ回転を考える上で大事なのが、(n1)次元球面S^(n-1)です。(n1)次元球面S^(n-1)とは、n次元空間R^4において、長さ1の単位球体を考えたときの、その表面のことです。例えば、1次元球面S^1とは2次元空間R^2における単位球体の表面、つまり、単位円の円周のことであり、2次元球面S^2とは3次元空間R^3における単位球体の表面、つまり、地球儀上の地図のような、ごくふつうの球面のことです。同様に、3次元球面S^3とは4次元空間R^4における単位球体の表面になります。したがって、n次元回転SO(n)とは、(n1)次元球面S^(n-1)上の各点における回転、つまり、(n1)次元回転SO(n1)の集まりということになります。少しまとめておきます。

■回転とスピンの関係
n次元空間における回転群SO(n) ⇔ n次元空間におけるスピン群Spin(n)
Spin(n)/{±1}=SO(n)
■回転と単位球面の関係
Spin(n)/Spin(n-1)=S^(n-1),  SO(n)/SO(n-1)=S^(n-1)
■主な単位球面と同型対応
0次元単位球面:S^0=Spin(1)=O(1)=Z2={±1}
1次元単位球面:S^1=Spin(2)=U(1)=SO(2)
3次元単位球面:S^3=Spin(3)=Sp(!)=SU(2)

こうした素粒子の状態回転にまつわる物理学的あるいは数学的な特性に関して、ヌーソロジーの空間幾何学の中で、どのように解釈され直して取り込まれるのかということを、自分なりによく考えながら進んでいく方が、一見回り道でも、いずれヌーソロジー全体を総括的に理解していくためには重要になってくると思います。

例えば、フェルミオンやボソンといった量子の、認識単位とも言えるものを決める条件を「量子条件」と呼びます。ここで言っている認識単位とは、エネルギー量子の単位です。一般に、「量子条件」とは、粒子の生成・消滅の演算子を用いて、ある意味、付帯的な「場の関数」に作用してその観測結果を取り出す演算子同士の間に成り立つ関係として表されます。実際には、「量子条件」は、「ハミルトニアン」と呼ばれる「総エネルギー」を表す演算子と対をなして意味を持ちます。例えば、調和振動子の場合、フェルミオン型でもボソン型でも、同じ運動を表現することができます。その場合、フェルミオン型の量子条件は「反交換子」を用いて規定されますが、そのハミルトニアンは「交換子」を用いて表されます。逆に、ボソン型の量子条件は「交換子」を用いて規定されますが、そのハミルトニアンは「反交換子」を用いて表されます。ここで、「交換子」は「円」的であるとすれば、「反交換子」は「双曲線」的です。つまり、双曲線的なものでエネルギー単位が規定されるフェルミオンの総エネルギーは円的なものとして示され、円的なものでエネルギー単位が規定されるボソンの総エネルギーは双曲線的なものとして示されるという感じです。

■量子条件とハミルトニアン

フェルミオン……量子条件(エネルギー単位)  :双曲線的(反交換的)
ハミルトニアン(総エネルギー):円的   (交換的)
ボソン    ……量子条件(エネルギー単位)  :円的   (交換的)
ハミルトニアン(総エネルギー):双曲線的(反交換的)

ヌーソロジーでは、一般に、奇数観察子側が円的に閉じていて、偶数観察子側が双曲線的に開いているとされています。一方、フェルミオンは物質粒子ですから、ある意味閉じており、ボソンは力の媒介粒子ですから、ある意味開いているというイメージがあります。すると、何となく、フェルミオンは奇数観察子側で、ボソンは偶数観察子側という感じになります。ところが、この量子条件を見る限りでは、一見逆に見えます。この辺りに関して、今後、これらフェルミオンとボソンをどう解釈して、意識構造へとつなげていくかを十分考えなくてはなりません。
私は、小冊子『ヌーソロジー・ド超入門』の「ヌーソロジーの理解の仕方のヒント」のところで、次元観察子の素粒子関連への対応として、こんな一覧を掲げていました。

ψ7ψ8 強い力(クォークとグルーオン)   
ψ5ψ6 弱い力(レプトンとウィークボゾン) 
ψ3ψ4 電磁気力(荷電粒子と光子)     
ψ1ψ2  時空            

やや『2013:シリウス革命』寄りの表現を借りれば、こんな感じになるでしょうか。

ψ7ψ8 陽子と中性子    SU(3) ゲージ対称性と関係
ψ5ψ6 電子とニュートリノ SU(2) ゲージ対称性と関係
ψ3ψ4 光子(電場と磁場) U(1)  ゲージ対称性と関係
ψ1ψ2  時空

ここで、光子、つまり、電磁場は、細かくは、ψ3が電場、ψ4が磁場と関係があるとされています。その電場と磁場を、電磁四元ポテンシャル(スカラー・ポテンシャルとベクトル・ポテンシャル)の回転として定義した場合、まず、双曲線的な擬回転(角度が虚数の回転)で定義されるのが「電場」であり、「電荷」(電気単極子)という閉じた実体があります。一方、円的な回転で定義されるのが「磁場」であり、「磁荷」(磁気単極子=モノポール)という閉じた実体はまだ見つかってしません。これも、整理しておきましょう。

■電場と磁場

電場……双曲線的電荷という閉じた実体あり

磁場……円的   磁荷という閉じた実体なし

図1 観測者から見たψ5の位置
DVDNOOS LECTURE LIVE 2009-2010 Vol.6』より)

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