ページビューの合計

2019年10月18日金曜日

35. 自己と他者の対称性――次元観察子ψ5~ψ6 (1)

さて、次元観察子ψ1~ψ2が形作る球空間が「モノ一個の内部に広がる空間」、次元観察子ψ3~ψ4が形作る球空間が「モノ一個の外部に広がる空間」だとすれば、次の次元観察子ψ5~ψ6が形作る球空間が「人間ひとりの外部に広がる空間」ということになります。ヌーソロジーでは、「人間ひとりの外部に広がる空間」は「モノ無数の外部に広がる空間」と同じ空間だと考えられています。

そもそも「人間ひとり」というものをどうやって構成するのだろうかと考えたときに、ようやく「奥行き」の向こう側から登場するのが「自己」と「他者」です。いわゆる「わたし」と「あなた」という関係軸が、本当の意味で初めて現れるのです。

私たちはモノを点として、そのモノとモノを結ぶ線分と、人間までもを点として、その人間とモノを結ぶ線分を同じものとして見ています。さらに、その延長で、人間同士を結ぶ線分までも同じものとして見ています。ヌーソロジーでは、モノとモノを結ぶ線分を「客観線」、人間とモノを結ぶ線分を「主観線」として、明確に区別しています。つまり、ヌーソロジーにおいては、モノとモノを結ぶ「客観線」と、人間とモノを結ぶ「主観線」を、混同して同じものとして見てしまうこと自体がカテゴリー・エラーというわけです。

図1 主観線と客観線
(『2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』p.185より)

では、人間同士を結ぶ線分はどういうふうに考えればいいでしょうか。わたしとあなたという自己と他者が向かい合って、互いの眼の中の瞳孔を覗き込んでいるような特殊な状況を思い浮かべますと、わたしとあなたの2つの視野空間を作っている光円錐が交差している構図が作られます。


まず、主体が生じる前の世界(ψ*3)がある。そこに現象としてのψ3-知覚空間が現れる。そこには他者の眼差しが存在している(ψ*3)。そこで、ψ3はその眼差しを利用して、そこに映し出されているであろうと思われるわたしの顔やその背後側=ψ4を、意識の中にイメージ化していく(鏡像形成)。本来の主体としてのψ3(知覚正面)は最終的にこのイメージを自分だと思い込み、そのイメージを再び外部に投影させ、「わたしという他者」ψ*4として見てしまい、ψ3自体は完全に無意識化してしまう。

図2 向かい合う自己と他者の視野空間と交合円錐
DVDNOOS LECTURE LIVE 2009-2010 Vol.5』より)

さて、ここで、イギリスの神秘思想家であるダグラス・E・ハーディングは著書『顔があるもの顔がないもの』において、2人の人間が底の開いた紙袋の筒の中で向かい合うという、とても興味深い実験をしていますので、引用してみます(なお、この実験は、『The Headless――頭がない方法 ダグラス・ハーディングが開発した自己探求の方法』(http://www.ne.jp/asahi/headless/joy/99_blank029.html)というサイトでも、「実験11-紙袋の筒の実験」として詳しく紹介されていますので、興味ある方はご覧下さい)。

図3 筒状にした紙袋の中で向かい合う実験
(ダグラス・E・ハーディング『顔があるもの顔がないもの』より)

あなたがパートナーと紙袋の中に入る間、私がいくつかの質問をします。これらの質問は、声に出して答えるものではありません。それらは、あなたが自分の答えに到達するのを助けるためのものです。
友人と紙袋に入るときは、今、与えられていることについて、あなたが考えることではなく、感じることでもなく、記憶していることでもなく、ただ実際に見えることだけについて真実を言うことです。「現在の証拠にもとづいて」が鍵です。では、顔を袋の中に入れてください。
最初の質問、現在の証拠にもとづいて、袋の中にはいくつの顔が与えられていますか?
二番目の質問、そこであなたは顔対顔になっていますか? それとも、向こう側には顔があって、こちら側は空間となっているでしょうか?
三番目の質問、あなたは全人生で、今までに誰かと顔と顔をつき合わせたことがあるでしょうか?


実際にやってみるとわかりますが、この実験は、かなりカルチャーショックを受ける事件になるかもしれません。それほど強烈な実験だと思います。

さて、ヌーソロジーでは、次元観察子ψ1とψ2を等化してψ3、中和してψ4となり、続いて、次元観察子ψ3とψ4を等化してψ5、中和してψ6となり、さらに、次元観察子ψ1とψ2を等化してψ7、中和してψ8となるといった発展構造によって説明されます。具体的には、『2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』の中に、こんな記述があります。


「次元観察子ψ1~ψ2からψ3~ψ4への変移を思い出してみよう。君はψ1の表相という領域で一つの対象の見え姿を収穫する。そして、君はその対象をグルグルといろいろな方向に回転させることによって、その全体像が何であるかを把握する。その全体像を支えているのは、言うまでもなく、その対象の背景面である。このとき背景面は動くことはない。次に君はψ3の領域でその対象を支えている背景面を収穫し、今度はそれを回転させ、その対象を取り巻く周囲の3次元空間の状況を確認できるに至る。そして、今度は、今から説明するψ5という領域で、おそらく何かを捕獲し、それを回転させ、また何かの状況を確認するに至るのだ。その何かが自己や他者を規定しているものになっているのだと思ってほしい。」

(『2013:人類が神を見る日 アドバンスト・エディション』p.393


0 件のコメント:

コメントを投稿