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2020年4月29日水曜日

80. 素粒子と対称性

改めて、「相対論」と「量子論」に関して、ヌーソロジーと関係の深い「物の見方・捉え方」という観点から、その考え方の特徴をピックアップしてまとめておきましょう。


○<相対論的な考え方>
従来の考え方=対象 (点)  の移動(座標系は不動)
⇒対象だけに焦点が当たり、観測者の存在が忘却される。
新しい考え方=観測者(座標系)の移動(対象は不動)
⇒観測者に焦点が当たり、 対象との関係が浮き彫りになる。
ただし、まだ観測の観点が変わっただけで、観測が対象の状態に影響を及ぼすところまではいかない。

○<量子論的な考え方>
古典論……物理量がc-(ふつうの数)で、対象中心の考え方。
量子論……物理量がq-(演算子など)で、観測者-対象セットの考え方。
 観測=演算子の状態ベクトルへの作用。観測結果=演算子の固有値。
⇒観測が対象の状態に影響を及ぼす。

こうした観点の延長線上に、現代物理学においては、「対称性」と呼ばれる「ある座標変換に関して不変である性質」に基づいて、物理法則が考えられるようになりました。これを「対称性原理」と呼びますが、素粒子物理学における「ゲージ原理」と呼ばれるものも、この対称性原理の一種です。

まずは、お題目的に、主なゲージ対称性を掲げておきましょう。


U (1)ゲージ対称性……荷電粒子が持つ対称性(ゲージ場が電磁場)。

SU (2) ゲージ対称性…レプトン対(電子とニュートリノ)や、
クォーク対(uクォークとdクォーク)が持つ対称性
(ゲージ場がウィークボソン)。

SU (3) ゲージ対称性…クォーク3個の結合組のカラーに関する対称性
(ゲージ場がグルーオン)。

SU (4) ゲージ対称性u, d, c, sのクォークが持つ対称性(中間子構造)。

SU (5) ゲージ対称性u, d, sのクォークとe, νのレプトン対のセット
が持つ対称性。


ヌーソロジーでは、これらのゲージ対称性が、人間の意識構造と非常に深い関係があると言っているわけです。まさに、ここからがヌーソロジーの一番の醍醐味を味わう現場です。ヌーソロジーの次元観察子と素粒子との対応はおおよそ以下のようになっています。


自然科学(特に、物理学) 
      現代素粒子物理学対応 

ψ7ψ8 強い力(クォークとグルーオン)   
ψ5ψ6 弱い力(レプトンとウィークボゾン) 
ψ3ψ4 電磁気力(荷電粒子と光子)     
ψ1ψ2  時空            


より正確に書けばこんな感じでしょうか。


ψ7ψ8 強い力の場 (クォークとグルーオン)   SU(3) ゲージ対称性と関係
ψ5ψ6 弱い力の場 (レプトンとウィークボゾン) SU(2) ゲージ対称性と関係
ψ3ψ4 電磁場     (荷電粒子と光子)      U(1)  ゲージ対称性と関係
ψ1ψ2  時空


さて、自然界のあらゆる現象は、電磁気力・弱い力・強い力・重力という「自然界の4つの力」によって説明ができるとされています。この4つの力が宇宙が誕生する瞬間はそもそも同じ一つの力だったと考える考え方が「力の統一理論」です。そこからまず重力が分かれ、続いて強い力、最後に、弱い力と電磁気力が分かれたとされています。この4つの力の分化の際に、ある種の「対称性」というものが破れて、枝分かれしていったと考えます。
この対称性として登場するのが、先に列挙したU(1)ゲージ対称性、SU(2) ゲージ対称性、SU(3)ゲージ対称性といった「ゲージ対称性」です。そこで、改めて、その「ゲージ対称性」とは何かということになるわけですが、このゲージ対称性には、実は2種類があって、「グローバル・ゲージ(大局的位相)変換対称性」と「ローカル・ゲージ(局所的位相)変換対称性」があります。ふつうゲージ対称性という場合は、後者のローカル・ゲージ変換対称性を指します。
ところで、対称性原理とは「ある座標変換の前後である物理法則が常に成り立つ」ということを要請するものであしたが、この「ある物理法則が成り立つ」ということは、その物理法則を成り立たせるためのある「運動方程式の形」が変化しないことを意味します。例えば、ガリレイ相対性原理という対称性原理は、ガリレイ変換の前後でニュートンの運動方程式の形が変わらないことを要請します。同じように、U(1)ゲージ原理という場合は「U(1)ローカル・ゲージ変換の前後で素粒子の運動方程式の形が変わらない」ことを要請します。この場合の運動方程式は、非相対論的な素粒子に対する「シュレディンガー方程式」や、相対論的な素粒子に対する「ディラック方程式」を指します。

80.1 大局的位相変換と局所的位相変換

ここで、ゲージ原理について、きちんとまとめておきましょう。


○ゲージ対称性(ゲージ不変性)
…ローカル・ゲージ変換(局所的位相変換)の前後で、素粒子の運動方程式の形が変わらないこと。

○ゲージ原理
…ローカル・ゲージ変換(局所的位相変換)の前後で、ローカル・ゲージ変換対称性が保たれることを要請する原理。対称性原理の一種。これによって、素粒子間に働く相互作用が規定される。

○ゲージ理論
…ゲージ原理に基づいた理論。


このことから、U(1)対称性というのは、このゲージ対称性の一種で、ローカル・ゲージ変換(局所的位相変換)としてのU(1)ゲージ変換の前後で、素粒子の運動方程式の形が変わらないことを意味するというのがわかります。



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