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2020年4月28日火曜日

77. シュレディンガー方程式とディラック方程式の関係

さて、シュレディンガー方程式は、以下のように、エネルギー・運動量・質量の非相対論的関係式を量子化して得られた波動方程式でした。


ところが、シュレディンガー方程式は、非相対論的方程式であるため、水素原子の場合は、電子などの質量の影響が小さいために、計算結果と実験結果がうまく合いましたが、もっと大きな原子番号の場合、相対論的効果を受けるため、相対論的な方程式が必要でした。そこで、エネルギー・運動量・質量の相対論的関係式からの量子化が求められました。
元々、エネルギー・運動量・質量の非相対論的関係式は、相対論的関係式を展開したときに出て来る項と非常に近似していました。具体的には以下のようになります。


このエネルギー・運動量・質量の相対論的関係式を量子化したものは、エネルギーと運動量の2次の関係式であり、このままでは扱いづらかったため、それを因数分解して、エネルギーと運動量の1次の関係式にする試みが行われました。その結果、数の世界では因数分解できなかった式が、行列を用いてようやく因数分解できました。


こうしてできた相対論的な波動方程式を「ディラック方程式」と呼びます。ディラック方程式において、演算子が作用する波動関数は、その特性上、4つの波動関数の組からなる「ディラック・スピノル」と呼ばれる4成分スピノルです。スピノルとは、簡単に言えば、ベクトルの平方根のような存在です。このディラック方程式に用いられる「ディラックのγ行列」は、異なる添数同士が以下のような反交換関係式を満たす4×4行列です。





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