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2019年12月29日日曜日

45. 世界観の変遷とヌーソロジー (4)

さて、前回は、2009年~2010年時点のヌーソロジーにおける人間の歴史的な意識発達とcave compassとの関係をベースに、ドゥルーズ=ガタリの『アンチ・オイディプス』における欲望機械の変遷としての原始土地機械(コード化)⇒専制君主機械(超コード化)⇒資本主義機械(脱コード化)のプロセスを、あくまでも「短絡」的に説明しました。
どうしても、10年前のこの2009年~2010年時点のヌースレクチャー内容をベースにしたモデルでいったん説明しておきたかったのは、私たち「人間型ゲシュタルト」の思考形態にとっては、そのモデルを、たとえ反発的に批判する人がいたとしても、この、ある種モダニズム的構図(一者性的構図)の方があまりにも見慣れていて、つかみやすいと思ったからです。
実は「人間型ゲシュタルト」の思考形態にとっては、一者性的独我論に陥り兼ねない、短絡的な「認識論的構図」に比べて、自己-他者関係を起点とする構図である「言語論的構図」や「ポストモダニズム的構図」は非常に理解しづらいと思うのです。
それを踏まえた上で、現時点、2018年~2019年時点のヌーソロジーにおける人間の意識発達について、まずは、ドゥルーズ=ガタリの『アンチオイディプス』のコード化→超コード化→脱コード化の発展構造とcave compassの対応を見てみましょう。



1 ケイブコンパスに見る資本主義機械の位置

次に、歴史的な意識発展とcave compassとの関係を見てみましょう。


2 人間の歴史意識の発展とcave compass

半田広宣氏は、自身のブログ「cave syndrome」の2018.12.27の記事「ψのケイブコンパスの全体像の大まかな解説」において、以下のようなことを言っています。

「次元観察子ψ109(ψ87含む)とψ1211の間には断層があり、歴史意識的にはψ1211は近代以降の意識に当たる。面白いことに、OCOT情報はこのψ1211の領域を正確な意味で「人間」と呼んでいる。つまり、ψ109の段階では「人間」はまだ存在していなかったということだ。
これはよく言われてることだけど、人間とは近代の発明品のようなものと考えた方がいい。その意味で、人間は今後、僕らの想像を超えるような変化を見せていくことになる可能性を秘めている。現在の近現代が作りあげた人間観に固執する必要はどこにもない。人間について知ってる人間なんてどこにもいやしないのだから。人間は神と同じくらい神秘的な存在なのだ。」

ということは、私たちがふだん普通に「人間」と考えている意識は、実は、近代の発明品であり、専制君主機械の賜物だということになります。

以下、cave compassとの関係について、詳しく解説してあるので、少し長いが、引用させて頂こう。

「近現代の意識地層は破線で囲んだ場所に当たる。ψ109までは内在的視線は2次元(前後・左右)で水平的だけど、ψ1211では4次元(前後・左右・上下・統合)となって、それが複素次元ではSU(4)(複素4次元の回転)に関係してくると考えられる。
 
ドゥルーズ=ガタリのいう「逃走線」はψ11後半の自己意識の完成の部分に当たる。ここは外面領域なので人間の意識がスキゾ化していて、理性が理性自身の解体を目論んでいる場所でもあるということだね。ψ12後半とψ11後半は資本主義における領土化と脱-領土化の反復回路のようなものと考えると分かりやすいかも。
 
で、問題は一番上の「最終構成」というやつ。これは個の意識発達においては「死」の領域を意味してる。歴史意識としては近現代的主体の死。OCOT情報では1989年からこの最終構成の領域に入っているとしてる。これは何かというと、ψ112までの構成をまるまる反転させる領域のことで、要は他者精神の世界。
 
人間の意識はノス(赤)が先手を取って動いているので、放っておくと、そのまま惰性でψ*2の流れの中に入って行ってしまう。それが今の僕たちの状況と考えるといい。これは、自己意識の基盤となっていた真の主体としてのψ5の位置を喪失するという意味だ。このような状況をOCOT情報は「人間の精神の中和」と呼んでいる。
 
つまり、精神が消え去ってしまうということ。決定的カオスだ。今の世界の状況、自分の心の状況を見れば、それは薄々と直感できるのではないかと思う。ニーチェ風に価値基盤の全崩壊、受動的ニヒリズムの蔓延化と言っていいかもしれない。
 
ただ、困ったことに、今の僕たちは現在の歴史発展の方向以外、人間の文明の進化のベクトルというものを想像することができないでいる。このままいくと、精神なき全きカオスが到来してくることになるわけだ。それを好む人はいいけど、好まない人もいるはずだ。だから、一つここらでオルタナティブを作らないといけないんじゃね?と、ヌーソロジーは言ってるわけだ。
 
それは、ドゥルーズ=ガタリが予見したように、ψ11後半のスキゾ化の方向が示唆している。最終構成において、ψ*2の方向へと侵入していくのではなく、そこで方向を捻って、自己意識の基盤であったψ5を奪回するために、ψ1→ψ3→ψ5の方向にある精神の位置を見つけ出すこと。これがヌーソロジーのいう「顕在化」の作業だと考えるといい。
 
これは、従来の意識の裏貼り側へと回りこむような意識の創造だ。哲学的に言うなら、超越論的なもの(人間の経験的意識を作り出していた無意識)の側へと、意識を反転させることを意味している。生がもたらす死ではなく、生をもたらす死を経験の俎上に上げていくということと言い換えてもいいだろう。
  
そして、この思考作業が同時に物質の秘密を明かしていく。ヌーソロジーではそういうシナリオになっている。」

この辺は非常に興味深いところです。少し素粒子物理学関連で登場する対称性も巧みに絡ませながら説明されています。
それでは、ここで、人間の個人的な意識発達とcave compassとの関係も見ておきましょう。



3 人間の個人意識の発達とcave compass

 このヌーソロジーにおける人間の個人的な意識発達とcave compassとの関係の図を眺めていると、脳神経科学者アントニオ・ダマシオの『意識と自己』(講談社学術文庫)に出て来る身体と脳の相互作用で意識の形成のプロセスを描く「ソマティック・ブレイン・モデル」の図と、とてもよく似ているように思います。


4 身体と脳の相互作用で意識の形成のプロセスを描く
ソマティック・ブレイン・モデル
(アントニオ・ダマシオ『意識と自己』より)

この人間の歴史意識と個人意識の発展を対応させながら描かれた図が、次の、半田広宣著『奥行きの子供たち』p.231に出て来る図です。



5 人間の歴史意識と自我意識の発達プロセス
(半田広宣『奥行きの子供たち』p.231より)

これらの図も合わせて、前述の引用箇所を繰り返し、読み解いていきますと、人類全体の
の歴史的な意識の発展と、人間の個人的な意識の発達段階とがとてもよく対応していて、ヘッケルの「個体発生は系統発生を繰り返す」にも似た発展形式が読み取れるようにも思います。

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